コンテンツを販売する際のプラットフォームの選び方

 先々週、ついったーでつぶやいたのですが、「はてなポイント3万を使い切るまで死なない日記」の
コンテンツプラットフォームの未来
http://d.hatena.ne.jp/kawango/20090717/1247788288

というエントリーを読んで、なんだか自分の頭で考えていることをアウトプットする欲求に駆られまして・・・・。^^; 

で、お題は、「インターネットでコンテンツを販売する際のプラットフォームの選び方」という内容になりました。

以下にて、全文ご披露致します ^^;

<インターネットでコンテンツを販売する際のプラットフォームの選び方>

インターネットでコンテンツを販売しようと考えたら、まず第一にコンテンツのフォーマットがどういったものになるのか、その観点での吟味が必要になります。

音声データなのか、動画データなのか、画像なのか、PDFなのか、はたまた、ゲームなどのソフトウェアなのか。

もともとインターネット上にデジタルデータ(ファイル)として流通可能なフォーマットになっていないもの(たとえばDVDとかCDといったパッケージに収まったフォーマット)の場合には、最も手間無く変換可能なフォーマットは何になるのかを見極める必要があります。


次にターゲット(売り先)の見極めが必要です。

パソコンユーザを対象にするのか、ケータイユーザを対象にするのか。

パソコンにしても、国内では90%以上のシェアをもつWindowsマシンを対象にすればよいのか、比較的少数派にはなるものの存在感のあるMacをターゲットにすべきか。

こうした観点から、流通させたいコンテンツとその対象を決めると、選択可能なプラットフォームがおおよそ見えてくると思います。

市場の広さ(=単純にユーザーの多さ)を考えれば、ケータイ利用者を売り先として視野に入れることはアリな考え方です。ですが、ケータイでスムーズに取り扱えるフォーマットにコンテンツを変換しうるのか?という観点でも検討が必要になります。ケータイも高機能化され、いろいろなフォーマットでコンテンツ配信ができるようにはなってきていますが、制限がまだまだいろいろあります。ケータイコミックなどは標準的なフォーマットか既に確立されている代表的な例ですが、販売したいコンテンツがそうしたフォーマットへの対応を簡単に行えるかどうかを見極めなければなりません。


コンテンツの出し先とフォーマットがおおよそ見えてきたら、続いて、数あるコンテンツ販売プラットフォームの中からどれを使うのがよいか、検討する段階に入ります。

もちろん、プラットフォームを自作してしまうという発想がこの時点である場合もあるでしょう。投資はかかりますが、やりたいことを完全に思いのままに実現するためには自作するという発想になっても不思議ではありません。

しかししかし、販売プラットフォームを自作し、そのプラットフォームを利用してコンテンツ販売を試みた例で、最終的に初期投資を回収しきれず、力尽きてしまった例は無数にあるように思います。自作することで自由に要件を定義できるだけに、なんでも盛り込む傾向となり、結果的にオーバースペックなプラットフォームをこしらえてしまい、その後の回収に苦戦するといった例です。

こうした過去の失敗事例から学べば、自作という選択肢はよほどのことが無い限りコンテンツホルダーにとって選択しえないのではないかと思います。

そうなると、コンテンツホルダーは、プラットフォームを保有してコンテンツ販売サイトを運営している販売事業者にコンテンツの販売を委託するか、コンテンツプラットフォームを機能として貸し出してくれる事業者から販売の仕組みを借り受けて、あたかも自前の販売サイトのように運営するかのどちらかの選択肢を求めることになるかと思います。


前者は商品を販売店に卸す形に近い話です。販売に関する一切をお任せできるのでコンテンツホルダーにとっては楽な選択ではありますが、一方で、販売価格の決定権は持てないし、実際に購入したエンドユーザーの情報も握れない。その上で、それなりの%での販売手数料を通常は求められたりもします。

販売を委託した場合、本屋さんに本が並ぶような形になりますが、意図しないジャンルのコンテンツと同列で陳列をされてしまう可能性などもあり、ブランディングを大切にしたい場合には不向きなこともあるかと思います。

商品としてのコンテンツの供給に徹して、消費者に対する小売を流通に任せるという構造は、非常に分かりやすい話ではあるのですが、あまりインターネットっぽくは無い感じもしますね。


インターネットの良いところは、情報の生産者と消費者がダイレクトにつながれる点にあり、その効率のよさをビジネス上のメリットに変えられれば、インターネットの価値を享受して、リアルな世界では決して実現できないような効率のよい結果を得られる可能性があるというところです。


そこで後者の選択、つまり、販売の仕組みのみを借りて、直接消費者にアプローチし、獲得したファンとの関係を自らで大切に育んでいくことで大きな価値を醸成していくという手段を選ぶことも選択肢になってきます。

実際にこの選択をとってダイレクトにコンテンツ販売を行っているのが勝間和代さんです。


デジタルコンテンツを販売するためのプラットフォームの中からASPとして利用可能なものを選択し、自らのサイトで、自らのブランディングとマーケティングによって顧客を獲得して、ビジネスを展開していらっしゃいます。

もちろん、コンテンツを流通させる上でのフォーマットとプラットフォームの組み合わせに関しては、より多くの方に届けられるようにするためにさまざまな展開を行っていらっしゃっており、ネットの利点を生かした効率のよいビジネスを推進されています。


結論、コンテンツホルダーにとって、インターネットを活用するメリットは大きいはずなのです。

しかし、ITリテラシーを高めて、自らでやれることをどんどんやっていかないと、結局は中間で仕事を代行する様々なプレイヤーにコストを支払ってビジネスを駆動させる(まかせる)構造になってしまい、思ったほど成果が上がらないビジネスになってしまう可能性があるのです。

幸いにして、テクノロジーの進歩によって、必要となるITリテラシーの敷居は下がる傾向にあるといえます。常に研究は必要ですが、いろいろな可能性を試してみて、感覚を掴むことで、やれることはどんどん増えていきます。初期投資を抑えて取り組める手段もいろいろあります。コンテンツホルダーがインターネットの活用に向けてチャレンジできることはかなり増えてきているのではないでしょうか。


インターネットという新規のフィールドでのビジネスを新たに始めるにあたって、「良く分からないことが多いので専門家にすべてお任せしたい」という気持ちになるのは分からなくはない話です。が、すべてを任せてしまっては、インターネットでビジネスをすることで得られるはずの価値を最大限に獲得することは叶わないという一面もあると思います。

今回のエントリーでまとめさせて頂いたように、コンテンツホルダーがインターネットを活用したビジネスから得る価値を最大化させるためには、「誰に向けて」「どういたっフォーマットで」「どのプラットフォームを選択して」コンテンツの販売を行うのかを、十分に検討すること、そして、できるだけ自分たちでやれることは自分たちでやってしまうという考えをもつこと、が重要なように思います。

以上、長々と書いてしまいましたが、これからネットでのコンテンツ販売に取り組もうとされている方の参考になりましたら幸いです。



... もうすぐお盆休みですね。「僕夏」のイメージが頭をめぐります。

コメント

確かにまったく内容に関係無いコメントですねw > megさん

じろう君に連絡しました。

まったく関係ないですが、今夜から15日まで東京にいます。
お暇でしたら、じろうに連絡してくださーぃ。

  • meg
  • 2009/08/07 15:13