DRMフリー

音楽業界ではDRMフリーが話題になっていますね。
いよいよもって、DRMをどう利用するべきか、コンテンツビジネスに携わるすべての人が真剣に考えるべき時が来たように思います。

パッケージからノンパッケージへ(※)。
DRMフリーの潮流は、コンテンツ流通の流れが一気に方向を変え、新しい方向に加速する可能性があり、破壊的イノベーションを予感させる動きです。

※パッケージとは、箱に入った形で流通・販売される形体のこと。ノンパッケージは、箱の無い、いわゆるデジタルコンテンツ(データ)として流通・販売される形体のことです。

かつてのカラオケがそうだったように、コンテンツ流通のデータ通信化は想像以上に一気に進みます。このことは間違いないでしょう。

iPod と iTunes Music Store によって、一般化(=ごくあたりまえ)に一歩近づいた「ネットでコンテンツを手に入れる(買う)」習慣ですが、DRMフリーの実現により、もう一歩先に進んだものと思います。これまでの「パッケージを前提にしたビジネス構造」の全てが変わる可能性があります。それも、ものすごい速度で。

流通在庫の存在が全体効率を下げる一方で、マスマーケット(大量消費を前提にした市場)を相手にした場合、そこが流通ビジネスの肝でもあった(みんながそれなりにハッピーだった)ところもあったかと思いますが、データ流通が加速すれば、有無を言わさず利権の構造がガラッと変わる可能性があります(日本国内の動きがどこまで追従するかは「?」ですが・・・)。


繰り返しになりますが、いよいよもって、DRMをどう利用するべきか、コンテンツビジネスに携わるすべての人が真剣に考えるべき時が来たように思います。


DRMフリー時代になってこそ、「DRMをどう利用するべきか」を考えることが本質になろうかと。

DRMは「不正コピーの防止のためにあるもの」という画一的な理解から、一歩進んで、新しいビジネスモデルを生み出す道具として、どううまく活用するか?と考える着眼点が必要になってくると思っています。

基本機能は、視聴の許可・不許可をコントロールするために、コンテンツを暗号化して保護し、視聴のために必要な暗号を解く鍵(ラインセンス)の発行を行うDRM。

一方で、視聴の条件(期間や期限)を制御する(できる)のもDRMですし、誰にいつ、どんなシチュエーションでライセンス発行したのかをトラックするのもDRMの周辺で考えること(アプリケーションとしての機能)になります。

マス流通において、DRMにとっての「コピーを防ぐ」という機能的意味はたとえ不要になったとしても、流通という"ビジネス"を担う事業者が利用する道具である限り、「販売時点管理」に必要な情報を提供(獲得)するツールとして使える部分をも、捨ててしまう必要は”全ての場面で当てはまるとは限りません”。ここにDRMの新しい可能性があると思っています。


そこをどう考えるのか?


DRMフリーの世界とは、言ってみれば、「無人のレジが並ぶスーパーを作った(認めた)」ようなものかな?と思います。

目の前にそれが現れたとき、皆さんなら、どう買い物をするでしょうかね?
また、その店の店長に皆さんがなったとき、どう、そのお店を管理するでしょうか?

ネット上の消費者がその「無人のレジが並ぶスーパー」でどういった行動を実際に取るのか?
E●Iと、A●●leが、その「無人のレジが並ぶスーパー」をどうマネージするのか?


それらの動向を、今後見守りつつ、DRMをあえて使うシーンの広がりを期待したいと思っています。


ちなみに、マーケット規模がそもそも小さいニッチコンテンツの流通においては、DRMは必須と思います。本来の機能的意味(コピー防止)が十分に意味があるものとして生きる世界です(規模感的に。)。また、事業者にとっても、ちゃんとコンテンツにしっかり鍵をかけて、きちんと課金できることが、第一です。なので、DRMフリー(そもそも勝手にコピーが出回れちゃう状態)は、この範囲ではちょっと考えられません。

マスマーケットを相手にする、特に、ショウビジネスの世界には、いろいろなお金の取り方があり、何に狙いを定めるかによって、コンテンツ流通(販売)とプロモーション(宣伝)の分け目が非常にわかりづらいです。

その中で、DRMフリーは、生まれてくる(生かされる)ものと思います。


なので、結論は、やっぱり、「DRMの使い方を見間違える(読み違える)な」ということかと。


いよいよもって、DRMをどう利用するべきか、コンテンツビジネスに携わるすべての人が真剣に考えるべき時が来たように思います(「もとからあったでしょ」って話もありますが、最近、特に目につくので。DRMという言葉が(笑))。
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