総力戦
2011.08.09 Tuesday
「非常呼集」
父親が自衛官だった僕にとっては耳慣れた言葉であるが、一般的に使う言葉ではおそらく無いであろうこのフレーズ。
Wikipediaによると、
非常呼集(ひじょうこしゅう)とは軍隊で、非常の事件が起った場合に、これに応じるために営内及び駐屯(基地)地周辺に居住する兵(隊員)に武装させ集合させることである。
だそうだ。
ビジネスは「戦(いくさ)」だ。
先日、緊急を要する事態に遭遇し、やむを得ず「非常呼集」をかけた。
深夜00:13。
災害時の連絡用にと準備していた全社員のケータイメールが登録されているエマージェンシーMLへ、「今から会社に全員集合」というメールを投げた。
この時、頼りにできるのは社員だけだった。
既に帰宅していた社員もいた。帰宅途中の者もいた。
30分、1時間と経つうちに、ぞくぞくと社員が集まってくる。
気がつくと、2時間後には、ほぼ全員の社員が集合していた。
深夜3時をすでに回った辺りだろうか。
集まった社員で徐々に役割分担をし、問題の解消に向けて全員が作業にあたる。
目的は「現象の再現」。
ログを分析し追っかける者。
ソースを読み解きロジックを解析する者。
端末をひたすらオペレーションし再現を試みる者。
当初、バラバラに動いていた動きが徐々にまとまりだす。
時々刻々と集まってくる情報を整理し、可能性を検討。
事象を追い込み、徐々に輪郭が見えてくる。
「これじゃないですかね」
ロジックを解析していたチームから可能性の示唆があった。
「よし、全員で試そう。全員再現テスト!」
一斉に全員が端末でのオペレーションを開始。
もくもくと作業が進む。
果たして再現できるか。
長く、重たい時間が過ぎる。
午前5時に近くなったその時。
「再現しましたー!」
ロジック解析を行っていたチームが嗅ぎ付けた原因と思われる箇所は「ビンゴ」だった。
再現条件にたどり着くまでに時間を要した。
確かに再現する。
「これだ」
原因とされる部分が判明し、影響のあった操作がどの程度行われていたのか、ログ分析チームが解析を進める。
既に日は昇り始めている。
おおよそ状況がつかめてきた。
早朝、深夜の「非常呼集」から総力戦でかき集めた情報を取りまとめて持ち帰ったクライアントの担当者の方が、帰り際にエレベータホールで僕にこう話した。
「御社の問題ではないのに、全社で総力を尽くして頂き、ありがとうございました。御社の努力を無駄にしないようにしっかり報告してきます。」
大きな混乱の中、何が正しい情報なのか分からず、情報が錯綜していたこのタイミングで、すべての状況をリアルタイムに見て頂いていた担当者様のこの一言がとても頼もしかった。信用できる言葉だった。
オフィスに戻ると、徹夜で戦った社員たちが居る。
ものすごい集中力と機動力だった。
そのことを思い返すと、自然と目頭が熱くなった。
「本当にありがとう」と声をかけた。
いろいろと文句を言いながらも「やるときにはやる」
そんな憎めない社員達に助けられた。
本当に有り難い経験をさせて頂いた。